八木和彦 Gallery

作品集「郷愁 ―こころのふるさとを求めて―」

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思い出Ⅰ ―永遠への憧れ―

  • 花売りのおばあさんⅠ
  • 花売りのおばあさんⅡ
  • 春の養鶏場
  • なつかしき三日月の宵
  • 父の自転車Ⅰ
  • 父の自転車Ⅱ
  • 或る記憶
  • 母に負われて
  • 夜の路地裏
  • 八幡さんへ
  • 沢橋
  • 鉄橋を渡る列車

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花売りのおばあさんⅠ

幼い頃の思い出です。
土埃舞う明るい春の道を、
乳母車を押して花を売りに来るおばあさんがいました。
私は家の中にいて、「花エー」というその売り声と、
乳母車のゴトゴトという音を聞いているわけですが、
このような景色を実際に見たのかどうかは
定かではありません。
けれども心の中によみがえるのは、
このような明るい白昼夢のような景色です。
それを思い浮かべるたび、
ふるさとに帰ったような、
落ち着いたなつかしい気持ちになります。

  • 2002~2003
  • 水彩,パステル,アクリル・紙
  • 27.8×20.4 cm

花売りのおばあさんⅠ

花売りのおばあさんⅡ

幼い私が北向きの部屋の窓から、
垣根の向こうの砂利道を行く花売りのおばあさんの売り声と
乳母車のゴトゴトいう音を聞いています。
春の日の昼前頃。
外はとても明るく暖かいのですが、
部屋の中は少し暗くてひんやりした空気です。

心のうち深くにあって
癒しと平和をもたらす場所に通じるキーともなる
思い出の空間です。

  • 2002~2003
  • 水彩,アクリル・紙
  • 25.7×36.3 cm

花売りのおばあさんⅡ

春の養鶏場

やはり3才頃の思い出です。
母に連れられて、
自転車で15分ほどのところにある農業試験場に、
卵を買いに行きました。
そこにたくさんひよこがいて、
それが印象的だったためか、
また、のどかで明るい春の景色のせいか、
私の原点ともなる思い出となっています。

  • 2002~2003
  • パステル,水彩・紙
  • 10.7×14.1 cm

春の養鶏場

なつかしき三日月の宵

ある時ふと思い浮かんだなつかしい風景です。
近所の小さな駅付近の風景がベースになっていますが、
その通りの景色というわけではなく、
自分の心の中のふるさとのような場所のイメージです。
時代としては昭和30年代くらいでしょうか。
4~5月くらいの夕刻、
こうもりが飛び交うかわたれどきです。
このような時間には、
この世とあの世の境もおぼろげになるように感じられます。

  • 1998~2003
  • 水彩,クレヨン,アクリル・紙
  • 19.0×14.3 cm

なつかしき三日月の宵

父の自転車Ⅰ

私は男ばかりの3人兄弟の一番上です。
子どものころ、
父は私たちを3人とも一台の自転車に乗せて、
いろんなところへ遊びに連れて行ってくれました。

若かった父…
その背中の頼もしさを思い出すとき、
自分を守り育ててくれた、
目に見えない大きな力への
感謝のようなものがこみあげてきます。

  • 2005
  • 鉛筆,水彩・紙
  • 16.9×24.7 cm

父の自転車Ⅰ

父の自転車Ⅱ

力強く走る
父の自転車は
神の乗り物
私たちは神に守られ
神に運ばれていた

  • 2005
  • クレヨン,水彩・紙
  • 10.6×14.1 cm

父の自転車Ⅱ

或る記憶

私の最も古い記憶…
みかん色の電球ともる夜の屋台で
私は母に背負われていた

母のぬくもりは
神のぬくもり
なつかしい
私のふるさと

  • 2005~2008
  • 木炭,水彩,パステル・紙
  • 16.9×24.7 cm

或る記憶

母に負われて

よくおんぶをしてくれた
それで町を歩いた
あのとき
どんな思いでいたのだろう
さびしいこと
つらいこともあったろうに
私たちのために耐えてくれた
そしてそのことが
私をより深い世界へと向かわせた

  • 2005~2008
  • 木炭,水彩,パステル・紙
  • 19.2×16.9 cm

母に負われて

夜の路地裏

小さい頃
私は泣くとき
母の子守歌を思い出した
するとさらに泣けてきた
悲しいから
というだけで泣いていたのではない
それは根源的なものへの郷愁だった
母の歌声は
今も私に
「大事なものを思い出せ」
と言っている
最も大切なものを
私の心に刻んだ母

  • 2005~2008
  • 水彩,クレヨン,パステル・紙
  • 15.2×14.0 cm

夜の路地裏

八幡さんへ

私の家は徳島駅から2駅目くらいの場所にありますが、
子どものころは周りにほとんど家もなく、
とてものどかなところでした。
裏庭の生け垣の隙間をくぐるとれんげ畑があって、
小さな川を隔てて八幡神社があります。
川には細い石の橋があって、
それを渡って裏側から神社に遊びに行きました。
祖母はよく、砂糖入りのきな粉をかけたおにぎりを作ってくれて、
神社で食べるのが私たちの楽しみでした。
これは最高のごちそうだったなあと、今思います。
あちらの世界で再会できたら、
祖母はまたきな粉のおにぎりを食べさせてくれるだろう、
などと思ったりもします。
そしてそう思うと、こみあげてくるような気持ちになるのです。

  • 2008
  • 水彩・紙
  • 15.5×18.4 cm

八幡さんへ

沢橋

近所の川にかかる小さな橋です。
私が幼かった昭和30年代の半ば頃、
川で洗濯をする人を見かけることもありました。
小学3年生の頃には、
川の近くで不思議な足跡を見つけたことが元で
河童が隠れ棲んでいると信じ込み、
探索隊を結成したこともありました。

今は護岸工事も進み、
河童が隠れ棲める余地は無くなってしまいました。
でも、もう一度、何らかの形で、
彼らが住める場所を、身の周りに少しでも
つくっていきたいと思います。

  • 2008~2009
  • アクリル,水彩,パステル・紙
  • 18.0×22.2 cm

沢橋

鉄橋を渡る列車

飯尾いのお川と鮎喰あくい川、そして吉野川が合流する地点は、
地方都市の中にあっては珍しく、
雄大な自然の残る場所でもあります。
そこは子どもの頃、家族でハゼ釣りに行った、
思い出の場所でもあります。

どんなに強い絆で結ばれたものであっても
時間の流れの中では、何らかの別離はあるものでしょう。
私の家族もそのような、
世間並みの試練は経験しました。
けれどもそんな試練の中にあっても、
この場所での思い出は、
私に力を与え続けてくれました。

  • 2008~2009
  • 木炭,水彩,色鉛筆・紙
  • 10.0×14.8 cm

鉄橋を渡る列車

作品集「郷愁 ―こころのふるさとを求めて―」

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  • 2. 夜の風景 ―闇と光のなつかしさ―ギャラリーへ
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