夏の朝
2010年12月12日、
横須賀で小学校の先生をされている高松尚輝さん(阿波高校OB)から、
徳島の原風景を描いてほしいというというお申し出をいただきました。
横須賀で仕事を続けていく決意をして新居を購入されたけれども、
故郷・徳島を愛するお気持ちに変わりはなく、
徳島の風景を描いた私の作品を飾って心の拠り所としたい、ということです。
ご自身の最もなつかしく思われる場所を描かせていただくというのはいかがでしょうか、
という提案をさせていただくと、とても喜んでくださり、
早速2枚の写真を送ってくださいました。
ひとつはご実家の庭から南の方を眺めた風景。
この道にはどこか遠くの世界に通じる印象があったのだそうです。
もうひとつは逆にご実家の方を望んだ風景。
通学距離が長かった小学校からの帰り道、やっとほっとすることができた、
ご自分の家が見えるようになったあたりの景色です。
実際にその場所をご案内いただき、
2つとも描かせていただくことになり、
6月末に一つの作品を完成させることができました。
シンガーソングライターでもある高松さんは、
とても喜んでくださって、絵と同じ題名の歌を作ってくださいました。
夏の朝
風薫る 雲の峰 蝉時雨 陽炎
朝曇り 時津風 草いきれ 夏木立
緑燃ゆ 夏の朝 流れてく 雲に
向かって 歩いてく 僕のことみんなが見つめてる
あの道を僕はどれだけ眺めていたんだろう
曲がりくねったその先に見果てぬ夢を描いて
たどり着いたこの場所で根を下ろすことにした
そんな僕が築いたのは小さな白い家
風死して 炎天下 雨乞えば 夕立
夕凪 夕焼け 短夜 空には天の川
厳しかり 夏の日は 喜雨さえも気休め
それもまた 夏ゆえに 打ち水 風鈴 走馬燈
あの道に僕はどれだけ包まれていたんだろう
白い家に届けられた一枚の「夏の朝」
いつも自分の思い通り生きられるはずはない
そんなとき支えてくれる いつも一緒「夏の朝」
あの道は今の僕の原風景(みなもと)と呼べるだろう
溢れんばかりの思いを光と色に詰め込んで
これからまた歩いてく 新たな道へ踏み出して
半夏生 白い家 夏の朝・・・
- 2011
- 油彩・キャンバス
- 31.8×41.0 cm(F6)